第5回:夕張のミックスワンコ

新夕張駅で乗り換えてから乗客は私一人だった。日中は夏の暑さも残る北海道、シーズンオフではない。夕張駅に降り立つと巨大なホテルが闇夜に潜む。近くのコンビニの看板だけが輝いていた。

産炭地として膨れ上がり、閉山後のまちのあり方を見いだせなかった。「炭鉱から観光へ」定住人口の減少を交流人口で賄おうとして多くの観光施設を設置した。ことごとく失敗を重ね、財政再建団体に陥る。明日はわが身を感じとり多くの見学者が訪れる。皮肉な話だ。

観光イベント国際映画祭は規模を縮小しているが今も続いている。映画を切り口に地域再生を目指している。一番商店街だった本町商店街は「本町キネマ街道」として建物に大きな映画看板を掲示するまち起こしを行う。さしたる映画ファンではない私にも見覚えがあり懐かしさを感じる看板が立ち並ぶ。一番多い時で100を超える看板があった。今は48枚。掲示する建物自体がなくなってしまった。

商店街の再生手法として、テーマパーク化がある。映画の街、昭和の街、外国風の街、蔵や屋敷の街など。特に手が込んでいればマスコミに取り上げられ、多少来街者は増える。しかし客は飽きっぽい、一度見れば十分である。この手法で儲かるのはコンセプト開発業者とマスコミだけ、商業者は一層疲弊する。

客を呼び込む努力を地道に重ねている人たちもいる。夕張駅に隣接したバリー屋台、複数の飲食店からなる、炭住の柱や梁を使って建てた温もりのある食堂兼飲み屋である。夕張ではカレーそばをご当地グルメとして打ち出している。そこそこおいしい。

商店街には人もワンコもいなかった。炭鉱地独特の坂の多い道を歩いているとミックスワンコを連れたおばあさんに会った。後ろから声をかけたのでひどく驚かれた。人がいないので声をかけられないと思ったか、私が怖かったのか。前者であってほしい。
本町キネマ街道
3人いないと成立しない
ミックスワンコ
驚かしてしまった
バリー屋台
カレーそば以外も食べたい
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